精神保健福祉法改正案に対するDPI日本会議意見
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2016年8月2日午前、相模原事件についての政党ヒアリングが行われ、障害者団体としてDPI日本会議も出席をし、意見書を提出しました。
他に出席された団体からも、「施設の安全確保」「措置入院制度の見直し」に対する危惧、反対意見が述べられました。
議員からも障害者団体の意見をふまえて、省庁に対して質問・意見が述べられました。
DPIの意見書に述べている通り、今回の事件をきっかけにして、障害者を隔離、排除していく施策が進められるならば、容疑者がいう「障害者なんていなくなればいい」という社会に突き進んでいくことになります。
そうしたことにならないように、私たちの側から「優生思想を許さない」、「殺されてよい命、死んでよかったというような命はない」というメッセージを発信し続け、取り組んでいきたいと思います。
▽8月2日相模原市障害者大量殺傷事件に対する意見(ワード)
以下全文
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2016年8月2日
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり
日頃より障害者の権利の増進のためにご尽力いただき、心より感謝申し上げます。
わたしたちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、障害の種別を越えて障害者が障害のない人と共に生きることができる社会づくりのための運動を行っている団体であり、北海道から沖縄まで91の団体で構成されている障害当事者団体です。
2016年7月26日未明に相模原市の障害者施設で起きた障害者大量殺傷事件によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
また、深い悲しみや恐れを持たれているご家族に対しても心からお見舞い申し上げます。
私たちは、事件の全容と背景の解明を行うことを最優先とし、推測などをもとにした拙速な対応は、障害者への偏見や差別を助長する恐れがあるため、避けるべきであると考え、以下、意見を述べます。
1.今回の事件に関する基本的な立場
相模原での障害者大量殺傷事件で問われるべきは、むき出しの優生思想に基づく行為とそれを生み出す社会状況である。排除的な社会ではなく、インクルーシブな社会への転換が求められる。
2.で述べる通り、現在打ち出されている「再発防止」は、障害者を社会から隔絶、排除する方向に進む危険性を有していると考える。
もし、そうした方向が打ち出されるならば、今回の事件の目的として言われている「障害者がいない世界」に私たちの社会は進んでいくことになる。
あってはならない今回の事件に対して、その問題点をしっかりと受け止めた上で対応をしていくことが求められる。
あやふやな情報を元にした「対策」によって、方向を見誤らないようにして頂きたい。
・DPI日本会議声明
・共同通信2016年7月27日配信記事
2.「再発防止」として示されている事項について
(1)「施設の安全対策」について
通常の社会生活における安全対策は必要であろうが、「防犯」名目の下、障害者入所施設がより社会から隔絶された状況になり、入居者の外出や地域の人々との出会いが制限され、入居者のQOLが低下することになってしまわないか、大きな懸念を持たざるを得ない。
(2)「措置入院の在り方の見直し」について
報道によると、容疑者は犯行後、警察の取り調べに対して「障害者なんていなくなればいい」と語ったという。
また、重度重複の人たちを狙い撃ちにしたこと、家族に対しては「突然関係を絶つことになり申し訳ない」と述べているが、障害者本人に対する謝罪はないとも伝えられている。絶対認められない考えではあるが、「優生思想」という点では一貫したものを見て取れる。しかし、「思想」の問題を精神医療の対象とするのは間違いである。そもそも、容疑者が措置入院の対象者であったかについても検証が必要である。今回の事件を受けて、「措置入院の在り方」を見直すのは、さらなる誤謬である。こうした検討は精神障害者への偏見と隔離を強めることになり、私たちは検討会の設置に反対する。
3.今回の事件を受けてなすべきこと
2014年に批准した障害者権利条約や、それに基づく改正・障害者基本法、障害者差別解消法などに示されている、「障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会」(インクルーシブな社会)を基本とした対応がなされるべきである。
(1)施設からの完全な地域移行計画と地域生活支援の飛躍的拡充を今回の事件の背景に、とりわけ重度の知的障害のある人、重複障害のある人、高齢の障害のある人の地域移行が遅々として進んでいない状況があるのではないか。
事件に遭われた施設の管理体制を直接批判するものではないが、今後の在り方として入所施設ではなく、地域での生活を基本に進めていくべきである。
国も「施設からの地域移行」を掲げて10年余り経つが、今回の事態をきちんと受け止めて抜本的な地域移行策を打ち出すべきである。
施設や病院に誰も取り残されることなく完全な地域移行が可能となるような計画と、どんな重度の障害があっても地域で暮らせるように重度訪問介護などの地域生活支援を飛躍的に拡充して頂きたい。
(2)「殺されてよい命、死んでよかったというような命はない」との毅然としたメッセージを社会全体で
多くの障害者、関係者は今回の事件に強い衝撃と怒り、悲しみとおそれを抱いている。
私たちDPIは優生思想を絶対認めない。「殺されてよい命、死んでよかったというような命はない」といったメッセージを社会全体で共有していくことが求められている。
優生思想というと、戦前のナチス時代にあった過去のことと受け止められがちである。
しかし、日本では「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に掲げた
優生保護法が1996年まで続いた。
障害者や関係者の粘り強い運動でようやく廃止されたが、優生保護法下で行われた不妊手術などの被害者に対する謝罪や補償は、いまだになされていない。
過去を反省し、「優生思想は認めない」とのメッセージを託し、政府は優生保護法の被害者に対する謝罪・補償を早急に行うべきである。
なすべきは、措置入院制度の在り方検討会の立ち上げではなく、まず優生保護法の被害者への謝罪を行い、検証・補償の検討会の立ち上げを行うことである。
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先日、茨城県教育委員会の委員が「茨城では障害児の出生を減らせる方向に」と発言した問題で、お伝えした通りDPI日本会議は11月20日、橋本茨城県知事と茨城県教育委員長あてに抗議文を出しました。
そして連休明けの11月24日(火)、DPI日本会議と地元茨城県のDPI加盟団体であるCILいろはとつくば自立生活センターほにゃらのメンバー10名が、抗議文を手交するために茨城県庁を訪問しました。対応したのは茨城県保健福祉部障害福祉課課長補佐と、茨城県教育庁課長補佐でした。
訪問はおよそ40分間に渡り、まず、抗議文を読み上げて手渡しをしました。そして、全国青い芝の会元会長でDPI日本会議常任委員でもある金子和弘さんが、ご自身の生い立ちを中心に長年の「青い芝の会」の優生思想との闘いへの想いを語られました。
DPI日本会議は今回の出来事を「障害者に対する重大な人権侵害」と認識しています。また、教育委員会の委員の発言であったということも大変大きな問題であると考えています。
発言した委員が辞任したことに関しては、「今回のような発言は、社会にまだ優生思想が根深く残っている証拠。
大きな怒りと悲しみを感じているが、発言者個人を糾弾する意図でやってきたのではない。今後、これを契機として、茨城でも優生思想をなくしていくため、こうした問題を考える話し合いの場、あるいは勉強会などの啓発の場を県や教育委員会と障害者団体で一緒に開催すればいいのでは」と、私たちの考えを伝え、今後の取り組みについても提案をしてきました。
起きてしまったことに対して、どのようなアクションを起こして未来に繋げるかが重要です。障害の有無によって分け隔てられない共生社会の実現のためにも、今回の問題から私たち自身、改めて運動継続の必要性を再認識しました。
茨城県では平成27年4月1日から、「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」が
施行されています。条例の今後のブラッシュアップに向けて、DPI日本会議は地元の障害者団体とも今後も連携を深め、条例の名のような、誰もが「幸せに暮らすため」の社会づくりに向け、優生思想と戦います。
<当日の様子>
今回のDPI日本会議の抗議行動がニュース記事に取り上げられました。
▽障害児の出産:発言の茨城教育委員の辞職が決まる
毎日新聞 2015年11月25日 00時48分(最終更新 11月25日 00時54分)
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6・26緊急集会は天候にも恵まれ、3,200人が参加しました。また、当日カンパ664,371円、振り込みなど賛同カンパ208,182円を含めると計872,553円が集まりました。
お声かけ、ご参加くださった皆様、カンパをお寄せいただいた皆様、ご協力本当にありがとうございました。
日比谷野音ステージで行われたリレートークでは、実際に長期入院を体験された方がたをはじめ、当事者団体・支援者・医療専門職・障害者団体・国会議員らが次々に反対の意見を述べました。DPI日本会議を代表して平野みどりが、熊本県での差別禁止条例づくりに見られる障害種別を超えた連帯を紹介するとともに、病棟転換型施設を長期入院者の地域移行とする案が障害者権利条約に反するものであると述べました。
▽病棟転換型居住系施設について考える会ブログ
6・26緊急集会 当日の様子と写真
6・26緊急集会の報告とお礼、緊急アピール
しかし集会後の7月1日に開催された第4回「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」では、検討会内外での多くの当事者・家族・支援者の反対の声にもかかわらず、病棟転換型居住系施設を条件付けで容認する内容を含む「今後の方向性(取りまとめ)」(案)をもって終了しました。下記に同検討会資料と、この取りまとめ(案)に対し「考える会」が7月3日に発表した緊急声明を紹介します。
▽厚生労働省 第4回 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会 資料
▽「病棟転換型居住系施設について考える会」緊急声明
(PDF版)、(病棟転換型居住系施設について考える会ブログ)
厚生労働省 「取りまとめ(案)」は残念な内容となりましたが、実際に病棟転換型居住系施設を実行するのは都道府県であり、今後、地域において断固として病棟転換型居住系施設を作らせないための自治体への訴え、病院敷地内ではない地域への退院移行施策の充実が鍵になります。
DPI日本会議ではこの問題に関して今後とも取り組みを進めていきます。引き続きのご協力どうぞよろしくお願いします。
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先進国経済の疲弊、新興ドナー国の台頭、民間セクターの開発資金の増加、地球規模の課題の多様化・複雑化など、ODA(政府開発援助)をとりまく環境・潮流が変化する中、近年「国益」を全面に出したODAの戦略的・外交的な活用がドナー諸国内で主流となっています。
昨年からカナダ、オーストラリアの国際開発庁(CIDA、AusAID)がそれぞれ外務国際貿易省、外務貿易省へ統合されて外交、貿易、開発援助を一元化するなど、民間セクターの海外進出にODAを活用する動きも目立ってきています。
2003年に発表された日本ODA大綱には民間資金や国益という文言は入っていませんでした。外務省は3月31日、岸田文雄外相の下に「ODA大綱を見直す有識者懇談会」を設置し、6月に報告書をまとめ、年内に新たなODA大綱を閣議決定することを発表しました。DPI日本会議はODA政策協議会等を通じて、これまで開発戦略において障害(者)の課題を主流化することを訴え続けてきました。経済成長が持続的な開発において重要であることはもちろんですが、私たちは短期的な自国の利益のみを優先する姿勢だけでは、被援助国から真に尊敬を得られず、有効なパートナーシップを築けないと考えます。私たちは10年以上継続しているアフリカ障害者研修により、息の長い支援を通し着実にパートナーシップを築き人材・団体育成を行ってきました。特に、民間資金では解決が困難な障害分野など、開発過程において周縁化されやすい人々に対し配慮した、経済成長偏重ではないODAの実施を強く訴えます。
2015年で終了するミレニアム開発目標後の、新たな国際的開発枠組みへの障害者問題のインクルージョンを求める動きと並行して、新ODA大綱に対し障害者問題への取組みの明記を求めるため、DPI日本会議は以下の要望書を提出します。(※1)
また今回の見直しでは、安倍政権が「積極的平和主義」の下、集団的自衛権の行使容認や武器輸出三原則の見直しなどで安全保障政策の抜本的な転換を掲げる中、ODAの軍事目的での使用を禁じた規定を見直し、外国軍への支援を可能にする方向で検討に入り、民生分野の支援を貫いてきたODA政策でも軍事利用を認めれば、国内外で反発を招く可能性もあるという報道もなされています(朝日新聞4月1日)。
ODA大綱はこれまで「軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避する」ことを原則として掲げてきました。日本のODAは軍事的なカラーのない支援であるからこそ、イスラム教国に対する支援等において対等かつ中立的な立場で行ってくることができたという面があります。こうしたこれまでの実績や利点を放棄し、ODAの原則を緩和することに対し、私たちはODAが掲げてきた「人間の安全保障」の理念からの退行になりかねないと懸念することから有志の市民社会団体で提出する共同声明に賛同します。(※2,3)
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平成25年12月20日
特定非営利活動法人 DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 山田 昭義
2013年12月13日の新聞報道によって、千葉県袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ヶ浦福祉センター養育園」で、利用者に対する職員からの暴行により、入所者の19歳の少年が死亡し、また、同園の男性職員5人が、少年を含む入所者計10人を繰り返し虐待していた疑いが発覚した。
言語道断の決して許すことのできない事件であり、まず、虐待の被害者の方々ならびにご家族に心から哀悼の意を表すとともに、設置者たる千葉県をはじめ、千葉県社会福祉事業団、袖ヶ浦福祉センターに大きな怒りを持って抗議する。これら関係者の責任は極めて重大であり、原因と責任の所在を明確にするとともに、早急に被害者の方々、同施設に入所されている方々、ご家族の心的なケアを行うべきである。加害者が相応の刑事上・民事上の責任を負わなければならないのは言うまでもない。
障害者虐待防止法が昨年10月より施行され、様々な取り組みが全国で進む中、防止義務の責任主体の一つである自治体である千葉県の責任は重大である。さらに、今年12月4日には、障害者権利条約批准案が国会で承認された。同第16条は「搾取、暴力及び虐待からの自由」を規定し、虐待の防止と虐待を受けた被害者の身体的及び心理的な回復及びリハビリテーション等の措置が締約国の義務とされている。
さらに同第19条では障害のない人と平等にどこで誰と住むか選択でき、特定の生活様式(particular living arrangement)での生活が義務付けられず、地域生活を支えるための支援を締約国に課す地域における自立した生活の権利条項も規定された。
これは「脱施設条項」ともよばれている。
そして、間もなく締約国となる日本にこれらを遵守する義務が生じる。
DPI(障害者インターナショナル)日本会議は、どんなに重い障害を持つ人でも障害のない人と共に平等に地域で自立した生活をすることができる社会づくりのために、障害種別を超えた団体として活動してきた。私たちは入所施設での虐待はなくならないと考える。
千葉県に対して、養育園を閉鎖し、入所されている方々を地域に戻し、地域で安心して生活することができる条件整備を行う検討を求めたい。
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