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2015年2月25日 (水)

障害者総合支援法3年後見直しに関する意見書

厚生労働省は2013(平成25)年4月施行「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下、総合支援法)」の段階的な見直しを行うにあたり、論点整理のために学識経験者等から成る「障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ」を開催し、1月~2月に関係団体ヒアリングを行いました。DPI日本会議は2月4日に佐藤聡事務局長が下記意見書に基づきヒアリング意見を述べました。

▽障害者総合支援法3年後見直しに関する意見書(ワード)

以下意見書全文
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2015年2月4日
厚生労働大臣 塩崎恭久 様
特定非営利活動法人 
DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

障害者総合支援法3年後見直しに関する意見書

Ⅰ.見直しの基本スタンス
1.障害者権利条約の理念を踏まえた改正を
昨年、我が国も障害者権利条約を批准し、2月から発効している。権利の主体、障害の社会モデル、地域における自立生活の権利を規定している第19条等、権利条約の理念や規定を踏まえて総合支援法を見直していただきたい。
2.骨格提言の段階的・計画的実施を
国会答弁でもあったように骨格提言の段階的・計画的実施を進めていただきたい。

Ⅱ. 常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの 在り方
1.「常時介護を要する障害者等に対する支援」に関して 
(1)対象者(地域生活に困難のある障害者)
重度訪問介護を、医学モデルを前提とした利用制限を見直し、障害種別を問わず日常生活全般に常時の支援を要するすべての障害者が利用できるようにする。
具体的な対象者は、①重度肢体不自由者、②医療的ケアを必要とする者、③重症心身障害者、④強度行動障害をもつ者、⑤触法障害者、⑥重度知的障害でありながら行動障害関連項目の基準以下の者 、⑦盲ろう者等である。この中でも現行の重度訪問介護ではカバーできていない者について、今回見直しで対象に加えること。とりわけ⑥については、2014年度の重度訪問介護対象拡大における積み残しであり「地域生活における困難」を基準として対象に加えるべきである。→別紙参照
(2)支援内容
①シームレスに利用できる仕組みへ
介助が必要な障害者は、どこにいても介助は必要である。生活全般をシームレスに利用できる仕組みが必要である。支給量の範囲内であれば、利用範囲を制限しない、利用場所を制限しない仕組みにすべきである。
②通勤、通学、通年長期も対象とする
通勤は対象外となっているが、障害者の就労支援の観点からも必要性に応じて認めるべきである。通学と通年長期も多くの自治体で認められていない。移動の自由の保障は人間が生活をしていく上で基本的権利である。
③入院時もヘルパーを利用できる仕組みへ
医師が必要性を認めた場合には病院内でもヘルパーを利用できるようにするべきである。現在、入院時の切実なニーズに対して、地域生活支援事業で「コミュニケーション支援」に特化したサービスがいくつかの自治体で施行されているだけであり、非常に不十分な状況である。
④移動支援における車の運転について
地域の実情を考慮して、車(障害者の自家用車、障害者が借用した車)を移動の手段として認めるべきである。
⑤グループホーム内でのヘルパー
一律に制限を加えるのではなく、必要性に応じて利用できる恒久的な仕組みとすること。
⑥2人介助について
入浴や移乗の介助など、その必要性に応じて、「2人介助」を認めるべきである。
⑦一日の範囲を超える外出支援について
一日の範囲を超える外出については、行き先は国内外を問わず、認めるべきである。
(3)財源の仕組み
①かかった費用の1/2を国が負担する仕組みへ
現在、国庫負担基準によって市町村へ国の負担金が決まる仕組みになっている。このため多くの市町村は国庫負担金を超える支給を恐れて、国庫負担基準を目安に支給量に上限を設けている。国庫負担基準を改めて、かかった費用を国が負担する仕組みが必要である。
②重度訪問介護の単価引き上げを
重度訪問介護は重度障害者の地域生活を支える大切な仕組みであるが、単価が低いため介助者を十分確保できないという問題が続いている。これを改めるために重度訪問介護の単価を引き上げること。
2.「移動支援」について
  移動支援は自立支援法において地域生活支援事業に位置づけられた。その結果、利用時間数などで市町村格差が拡大し、利用先の制限なども起きている。自立支援給付にすべきである。
3.「就労」について
権利条約の規定に基づいて、社会的企業、社会的雇用の仕組みなど、一般就労と福祉的就労の両者の間に新たな選択肢をつくること、福祉的就労への労働法規の適用等が必要と考える。
(1)実態調査
骨格提言の内容に従って、まずは以下の実態調査を行うべきである。
①最低賃金の減額特例を受けている就労継続支援A型事業所
②最低賃金の1/4以上の工賃を支払っている就労継続支援B型事業所
③箕面市等、地方公共団体独自で最低賃金をクリアするための補助制度を設け、その下で運営されている事業所の他、新たに起業する事業所等。
④滋賀県及び札幌市等、地方公共団体独自の制度として障害者と障害のない者がともに働く職場形態となっている事業所。
(2)障害者雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的・有機的に展開するための関係部署の連携の強化、体制の整備を
社会保障審議会と労働政策審議会が連携し、この課題についての協議の場を設置し、障害者団体や関係自治体などからなる協議体を設置していただきたい。
4.その他の福祉サービスの在り方
(1)障害の範囲
制度の谷間を埋めるのではなく、なくす視点にもとづいて検討すべきである。病名で対象を決める仕組みを改め、障害者総合支援法第4条の定義を障害者基本法の定義に改正し、心身の機能の障害および社会的障壁との相互作用によって生じる障害のある者すべてが利用できる仕組みに改めるべきである。

Ⅲ. 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方
1.支援区分への変更、判定方法の変更の影響に関する実態調査
骨格提言においてニーズアセスメントを経て協議調整モデルが提起されている。一方、昨年には知的精神障害者の区分変更率が高いことを受けて障害程度区分が障害支援区分として改定された。これら支援区分への変更、判定方法の変更の影響に関する実態調査を行い、その上で骨格提言実現に向けての議論をWGや審議会において進めること。
2.協議調整モデルへ
サービス利用等計画よりも支給決定の一勘案事項に過ぎないはずの障害支援区分によって利用できるサービスの種類、量、単価が決定されている。また、障害支援区分は医学モデルによるアセスメントであり、本人の意向やその人が望む暮らし方、ニーズアセスメントはできない。本人の意向を反映したサービス利用等計画に基づく支給決定を行うためには、骨格提言で示された協議調整に基づく支給決定のしくみへと移行していく必要がある。この仕組みを実現するため、試行事業等を行い、具体的な制度設計につなげていくこと。

Ⅳ. 障害者の意思決定支援の在り方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方
1.意志決定支援
(1)障害者権利条約批准をふまえた法改正を
障害者権利条約を踏まえ、代行決定ではなく法的能力を行使するための意思決定支援について検討を進めていく必要がある。「必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障される旨の規定」、「 障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定」を設けるようにすること。
(2)意思決定支援に密接に関わるパーソナルアシスタンス制度の実現を
地域での日常生活における意思決定支援と密接に関わる支援であるパーソナルアシスタンス制度を実現すること。
2.成年後見制度
障害者権利委員会は、代替決定禁止説をとり、締約国に対して成年後見制度が承認する代替決定制度から自己決定(意思決定支援)制度への改正を促している。こういった動向等も踏まえ、成年後見類型の利用を最大限抑制し、どうしても代理決定が必要な場合については本人の同意を必要とする補助類型の利用を中心とすべきである。遷延性障害などでどうしても本人から直接意思の確認ができない場合についてのみ、例外的に成年後見類型、保佐類型の利用を認める方向での改革が必要である。
成年後見制度と意思決定支援の関係においては、本人に代わって何らかの決定をする者と本人の意思を尊重、確認しながら権利擁護活動を行う制度上の区別をするべきである。
「障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置」に関して、制度設計、改革のために、厚生労働省と法務省などの関係省庁との連携、障害者団体等・関係団体との間に障害当事者が過半数で構成される検討の場を設けるべきである。

Ⅴ. 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障 害者等に対する支援の在り方
1.意思疎通
 パーソナルアシスタンス制度を目指して、「盲ろう者通訳・介助者派遣事業」を発展させるための財源を確保するために個別給付化するとともに、通訳介助者の養成を当事者が参加する形で、都道府県レベルで義務化すること。

Ⅵ. 精神障害者及び高齢の障害者に対する支援の在り方
1.「精神障害者に対する支援の在り方」について
(1)権利条約の理念にそぐわない病院の敷地内グループホーム制度を廃止すること
(2)地域生活基盤への集中的な財政の投入
長期入院者の退院促進・地域移行支援を進めるために、住居を含めた地域生活基盤整備づくりに集中的な財源を投入すべきである。
(3)障害特性を踏まえた多様性を持った新たな地域支援体制の構築
既存のサービス類型では利用しづらい人への柔軟な支援が可能な制度をつくる必要がある。さらに、重度訪問介護を精神障害者のニーズにあった利用ができるよう制度の範囲拡大・応用を含めて検討していただきたい。
(4)精神科病棟における入院時、入院中、退院時の権利擁護の仕組みの確立
(5)当事者による支援活動を更に充実させるための活動保障の充実
2.「高齢の障害者に対する支援」について
  自治体によっては、65歳になるとサービス水準の切り下げが強制される場合がある。介護保険併給の場合は、国庫負担基準が極端に低く設定されているためである。これを改めかかった費用の1/2を国が負担する仕組みが必要である。

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