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2013年11月27日 (水)

障害女性の複合差別事例収集にご協力を!

2013年11月27日DPI女性障害者ネットワーク

私たちDPI 女性障害者ネットワークは、障害種別や障害の有無を問わず、障害女性の課題に関心をもつメンバーが集まり、障害女性に関する法律や制度、施策の在り方をめぐる国内外の様々な課題に、取り組んでいます。

今年6月に成立した障害者差別解消法は、2016年施行に向けて、さまざまな準備が始まりました。9月には、障害者基本法に基づいて、国の第3次障害者基本計画も決定し、これから条例や基本計画をつくる地方公共団体もあります。差別事例あるいは差別を解消した事例を収集して、障害者政策委員会や地方公共団体に示すことも、重要な課題になるでしょう。
これから民間の団体でも、事例収集が行われることと思います。その際、障害女性の複合差別に着目していただけるようお願いしたく、この一文を書きました。

社会には性に基づく差別が現存し、障害者も例外ではありません。男性女性それぞれに割り振られた性別役割を強いられ、困難を抱える障害者は少なくないと思います。障害女性の複合差別を明らかにしその施策を探ることは、障害男性の生きにくさをも解決する道へとつながるのではないでしょうか。

2009年以降の障害者制度改革のもととなった「障害者権利条約」の第6条には、「障害のある女性」という独立した条文(*1)があり、「締約国は障害女性の複合的な差別を認識し、人権を保障する」と書かれています。私たち女性障害者ネットはこれを国内法に反映させたいと願って、委員会の傍聴、意見書の送付、ヒアリングへの参加など、働きかけを行ってきました。

2011年に改正された「障害者基本法」には、女性に関する独立した条文は入りませんでしたが、3つの条文に「施策は、障害者の性別に応じて、策定、実施されなければならない。」という意味で「性別」という文字が入りました。
「障害者差別解消法」にも、基本法にならって「性別」の文字が第3章第7条2項と、第8条2項の2カ所にあります。障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない、というものです。参議院における質疑で、これは権利条約第6条の趣旨を現したものであることが、確認されました。そしてその内容が、付帯決議に書き込まれました(*2)。障害女性の複合差別の解消に向けてこれを活かしたく、障害女性の複合差別の事例を、政策委員会に示したいと考えています。

私たちはこの間、複合差別の実態を明らかにするための調査を行いました。「障害のある女性の生きにくさに関する調査」です。2011年5月から11月にかけて、自由記述と聞き取りで全国の障害女性の声を集めるとともに、障害女性の困難に行政がどう対応しているかを調べました。その結果を、12年3月に「障害のある女性の生活の困難 複合差別実態調査 報告書」にまとめました(*3)。
この調査から、障害者の中にも、男性と女性の社会的立場の違いによって、差別のかたちもニーズも異なる場合があること、これに対して施策が不十分であることが、明らかになりました。複合差別があるという認識に立ち、これを解消する施策が必要です。これから作られる差別解消法の「基本方針」、「対応要領」「対応指針」に、このことをぜひ反映させたいと思います。

そのために、民間の障害者団体のみなさんが事例の収集をなさるときに、障害女性の声を汲み取ってくださるよう、お願いいたします。そして政策委員会や地方公共団体に対して、差別事例に関するパブリックコメントなどの意見提出、政策提言をなさるときに、その声を反映することに努めてくださるよう、お願いいたします。

◆具体的には、次のような方法でできると思います。
・事例の調査では回答者の性別を聞かれると思います。事例の紹介で、性別を記して下さい。回答の傾向や数を集計される場合は、性別クロス集計をお願いいたします。
・できるだけ多くの障害女性が回答に参加できるよう、ご配慮をお願いいたします。
・回答を求める文章に、以下のようなことを書いていただくと、障害女性が回答しやすいと思います。
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女性の皆さんは、次のような経験や想いをおもちでしたら、ぜひ具体的に書いて下さい。
障害をもち女性であることで差別されたり困難を感じた
障害をもつ男性と異なる扱いを受けて不利になった
障害をもたない女性と異なる扱いを受けて不利になった
どういう社会であれば、障害女性も自分らしく暮らしていけると思うか

DPI女性障害者ネットワークが行った調査では、障害女性から以下のような経験が寄せられています。
――義兄からセクシャルハラスメントを受けたが、自分は自立できず家を出られないし、家族を壊せないから誰にも言えない。(50歳代 視覚障害)
――妊娠した時、障害児を産むのではないか?子供を育てられるのか?といった理由で、医者と母親から堕胎を進められた。(40歳代  視覚障害 難病)
――ある企業の面接で、「うちは本当は障害者は要らない。見た目に障害が分からない男性ならまだいいんだが」と言われた。(30歳代 肢体不自由)
――交通事故で障害者になった。遺失利益は現在の男女の就業、賃金から割り出されるので、同じ障害で同じ状況でも、女性への賠償額は男性よりもかなり低い。(20歳代 肢体不自由)
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以上、どうぞよろしくお願いいたします。

2013年11月27日
DPI女性障害者ネットワーク
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-11-8武蔵野ビル5F 特定非営利活動法人DPI日本会議気付
TEL 03-5282-3730 FAX 03-5282-0017 E-mail dpiwomen★gmail.com(★→@)

第6条 障害のある女性
1 締約国は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていることを認識し、また、これに関しては、障害のある女性及び少女がすべての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。
2 締約国は、この条約に定める人権及び基本的自由の行使及び享有を女性に保障することを目的として、女性の完全な発展、地位の向上及びエンパワーメントを確保するためのすべての適切な措置をとる。

(*2)2013年6月18日参議院内閣委員会における附帯決議 1.
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
1.本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。また、同条約の趣旨に沿うよう、障害女性や障害児に対する複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図ること。

(*3)複合差別実態調査報告書について、
報告書のお問い合わせ、ご注文も、ここからお送りいただけます。

*上と同文の文書を下記からダウンロードできます。

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