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2013年1月28日 (月)

産婦指針案パブリックコメントへの意見書

昨年12月15日に日本産科婦人科学会の検討委員会が「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」指針(案)を作成、公表し、この案に対するパブリックコメントを募集しました。

DPI日本会議としては、この『新型出生前診断』の実施は、優生思想を強め、障害者・児に対して偏見・差別を強めかねないと危惧し、1月21日に意見書を提出しました。

過去の優生思想から起きた差別・偏見の歴史を繰り返してはいけません。今後もDPI日本会議は出生前診断に反対していくとともに、差別・偏見の無い社会を実現するため、われら自身の声をあげていきます。

以下提出した意見書。


私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は国連が認めた国際組織の一員として、1986年に発足をしました。

現在、身体障害、知的障害、精神障害、難病等、障害種別を超えた、全国88団体が加盟した、特定非営利活動法人として活動を続けてきています。結成以来、四半世紀以上に渡って、障害者の自立と社会参加、権利保障を確立するための活動を進めてきています。

近年は2006年に国連で採択された障害者権利条約の批准に向けて、内閣府に設置された障がい者制度改革推進会議やそれを継承した障害者政策委員会などを通じて、さらにその取組みを強化してきました。とりわけ、全ての障害者の地域での自立した生活の権利の実現を目指して活動を進めています。

障害があっても他の人々と同等の、当たり前の暮らしが出来ること、どんなに重い障害があっても、選別されることなくその生命が尊重され、必要な医療や介護を受けながら、その人らしい尊厳ある生を保障される社会こそが、真に求められる社会です。しかしながら、これまでの歴史上、障害者は、地域社会から排除・分離され、生存そのものを脅かされ、厳しい差別と偏見、排除の中で過酷な生活を強いられてきました。特に、かつて「不幸な子どもの生まれない県民運動」や「優生保護法改悪」など「障害の予防」を掲げた動きの中で、
「障害児が生まれてくること自体が不幸」であるかのような、偏見・差別意識が強められてきた事実は、決して忘れられてはなりません。
残念ながら、21世紀の今日においてさえ、障害者の人権が確立したとは到底言える状況ではありません。また、これらの歴史に対する検証・総括も十分なされているとは言えません。

そうした中、今回、貴学会が、特定の染色体異常を診断の対象とする出生前遺伝学的検査に関して、指針を作成し、実施を進めようとしていることは、再び、障害児・者に対する偏見・差別を強めかねないものとして、強く反対します。

周知の通り、2006年に国連で採択された障害者権利条約では、障害を社会との関係でとらえる「社会モデル」を採用し、第3条一般原則では「差異の尊重、並びに人間の多様性の一環及び人類の一員としての障害のある人の受容」(川島聡=長瀬修仮訳、2008年5月30日付)が規定されています。そして、この障害者権利条約の批准に向けた障害者制度改革が現在進められているところですが、その中でも、「障害の予防」「出生前診断」等と優生思想の関係が大きな問題として取り上げられてきました。

2011年に改正された障害者基本法では、それまでの「第三章 障害の予防に関する基本的施策」が「第三章障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策」に改められました。すなわち、障害者の出生や存在そのものに対して否定的なイメージを与える「障害の予防」が削除され、「障害の原因となる傷病の予防」に書き換えられたのです。

また、内閣府に置かれている障害者政策委員会は、昨年12月に、「○新障害者基本計画に対する意見」をとりまとめました。その意見では、「尊厳死や出生前診断の議論では重度障害者が切り捨てられないよう配慮するべきである」「○障害の原因の除去や早期発見・早期治療は大切だが、それだけを強調すると優生思想につながる懸念がある」との指摘がなされた上で<新基本計画に盛り込むべき事項>として、【◎出生前診断等が障害者の生存に対する否定的な見方や施策につながらないようにすること。】との提言が盛り込まれました。この意見書に基づいて策定される新障害者基本計画は、2013年度から始まります。

以上のように、これまでの優生思想とそれに基づく歴史に対する反省、並びに、国連・障害者権利条約(社会モデルや差異の尊重と障害者の受け入れ)、障害者制度改革の動きなどの点から、出生前診断に反対するとともに、貴学会に対して、これらの動向を最大限尊重した取り組みを求めるものです。

▼意見書(PDF版)はこちら
http://dpi.cocolog-nifty.com/website/work/20130121dpicomment.pdf

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