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2006年9月14日 (木)

自立支援法(精神障害者退院支援施設関連)パブリックコメント

 本日、DPI日本会議は厚生労働省のパブリックコメントの募集に対し、以下の意見を提出いたしました。

「障害者自立支援法に係る省令・告示で定める事項等」に関する意見

DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長:三澤了

 去る8月24日付で、標記中間報告に対するパブリック・コメントの募集がありましたので、DPI(障害者インターナショナル)日本会議として下記の通り提出いたします。

別紙6-4自立訓練及び就労移行事業の報酬について
(2)精神障害者退院支援施設加算について(実施時期を含めて検討)に関する意見

1.「精神障害者退院支援施設」は、病院・施設への閉じ込めにしかならない
 「精神障害者退院支援施設」については、「利用期間:自立訓練(生活訓練)の加算であるため原則として2年~3年」と利用期限を限るので、地域移行が進むとの説明があるが、「原則として2年~3年」であるため更新すれば延長可能となる。例え、市町村審査会が認めなければ更新ができないようにしても、精神病院の院長の更新決定を市町村審査会が覆すことはありえない。これは、精神医療審査会を見ても明らかである。
 したがって、「退院支援施設」→(病状悪化を理由に)病棟へ→再度「退院支援施設」と利用者が移動すれば、医者の運用次第で利用者をこれらの施設に閉じ込めてしまう事は可能となり、それに対する歯止め策はない。病院・施設への閉じこめが可能となる施設を新たに作るべきではない。

2.「精神障害者退院支援施設」は精神障害者の自立を促進しない
 「精神障害者退院支援施設」の運営基準としては、「通常の生活訓練事業所又は就労移行支援事業所として満たすべき基準のほか、公共交通機関の利用、外部での活動等を組み合わせた個別支援計画の策定、地域の関係者等との連携等を通じ、地域活動等への参加を確保する。」とある。
 個別支援計画の作成は、自立支援の担保とならない。何故なら、計画を作成したとしても、第三者機関等による履行チェックの仕組みがなく、ただの机上の空論となるからである。
 また、外部での活動を組み合わせる際、どのような活動を外部とするのかが、非常に重要であるにも関わらず、この事項について曖昧である。病院周辺を散歩する程度でも、外部での活動となってしまう危険性がある。この事項は、地域活動への参加についても、同様である。
 現在の精神医療には、これらの事項を監視する機構はなく、内部監査は、精神障害者の人権擁護にもとづいたものではない。したがって、個別支援計画の策定や外部活動との組み合わせをすることをもって、精神障害者の自立支援とは言えず、それを施設運営基準としても意味がない。

3.「精神障害者退院支援施設」は社会的入院の解消の数合わせに利用されてしまう
 「精神障害者退院支援施設」は、医療報酬の対象からは外れ「退院」と扱われ、「社会的入院は解消されつつある」という数あわせに利用されてしまう。「精神障害者退院支援施設」に移る事によって、「社会的入院」の人数からは外れること、同時に「退院」と統計上扱われることは、厚労省自身も認めている事実である。さらに、医療統計で「精神病院の病床が××人分減」と報じられることになり、「社会的入院解消は進みつつある」と誤解を生む。「精神障害者退院支援施設」は社会的入院の数合わせとなるだけである。

4. 障害福祉計画で推進するべき地域移行は、「精神障害者退院支援施設」ではない
 自治体の障害福祉計画には、地域生活移行の数値目標達成として、「精神障害者退院支援施設」の利用者数を含めるべきではない。本来は、自治体は精神障害者の地域生活の基盤や仕組みづくりを整備するべきで、ホームヘルプやグループホーム、居住サポート、退院促進のためのピアサポートの活用を支援するべきである。しかし、自治体が「精神障害者退院支援施設」を安易な地域移行のツールとして利用しかねない。したがって、障害福祉計画で精神障害者の地域生活のサポートの仕組みをしっかりと作ることを数値目標とし、そのための施策を講じるべきである。

 上記の4点を踏まえ、「精神障害者退院支援施設」の構想を白紙撤回するべきである。また、社会保障審議会においても「精神障害者退院支援施設」について説明、議論をしていないことから、手続上も問題がある。したがって、この事項についてパブリック・コメントを求めること自体は、本来あってはならないことである。
 「精神障害者退院支援施設加算について(実施時期を含めて検討)に関する意見」について、「実施時期を含めて検討」と文言を挿入することになった経緯(8月23日に行われた「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会との交渉)を踏まえ、今後、障害者団体との協議を行い、真の意味での地域移行を具体的に検討するべきである。

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