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2006年8月21日 (月)

第8回障害者の権利条約特別委員会(2)

国連報告(2)
崔 栄繁

原則インクルーシブ教育にむけた歴史的第一歩
文部科学省、大きく舵を切る!

 今日は16日の水曜日。
 もしかしたら歴史的な日になるのかもしれません。

 今、国連で出されている条約案の最新版である修正議長草案の第24条「教育」は、

締約国は、教育についての障害のある人の権利を認める。この権利を差別なしにかつ機会の平等を基礎として実現するため、締約国は、次のことを指向する、あらゆる段階におけるインクルーシブな教育及び、インクルーシブな生涯学習を確保する。

とされており、合理的配慮の規定などとともに、インクルーシブな教育環境実現を目的とすると明確に規定されています。分離教育が原則である日本政府は今年1、2月に開かれた第7回特別委員会でこの条項に反対し、そのときには「24条の留保もありうる」という態度でした。

 ところが、この日の教育条項の審議の中で、簡単な発言であったが、日本はこの条項を受け入れるという発言をしたのです。つまり、原則インクルーシブ教育の方針を受け入れたといったのです。
 政府に「方針を転換したのですね」と確認したところ、「そうです」という答えが返ってきたのです。

 第7回特別委員会で日本政府は、この問題で名指しで批判され、その様子が国内にも伝えられました。学校教育法改正の審議もあいまって、国連の様子が国会でも取り上げられ、大臣の答弁も引き出しました。
 ながいながい「分けて見えなくする」教育がついに、「ともにまなぶ」教育へと方向を変えたことを政府が明確に述べたのです。統合教育に向けた地域のさまざまな実践がついに大きな実を結んだのです。
 いったん、私たちは勝利を収めたのです。

 もちろん、すぐに全てが変わるということでないでしょう。
 障害を持つ子ども・生徒が必要な支援を受けながら、障害の無い子ども・生徒とともに学べる環境づくりを進めるためには多くの課題があるでしょう。しかし、100年続いた原則が変わるのです。
 インクルーシブ教育の前進のために、政府を監視し、当事者の声を出し続けることは、これからもっと必要になってくるでしょう。

<定義をどうするか>
 そのほか、15日には、大きな関心事項である第2条「定義」の交渉が行われました。
 さまざまな項目の中で、特に問題になるのが「障害」の定義です。

 定義を設けるべきであるという立場には大きく分けて3つあります。真の意味でNGOを中心とする社会モデルをいれこみたいというグループと、障害を広げるというよりは各国の裁量を広げ、各国政府が解釈できるようにいろいろな要素を入れ込んで「広く作る」という解釈をする国、但書きをつけて「適用可能な国内法にしたがって」という形でつくるという意見を持つグループです。

 定義を設けることに否定論も2つの根拠があるようです。ひとつは各国の政府の裁量に任せるべきであるというものと、もうひとつはあまりに狭義になると排除される障害者が出る可能性があり、本条約の主旨に反するのであえて定義を設けないという立場です。

 日本政府の立場は、定義の設置については原則反対だが、各国の動向を見ながら柔軟に対応するとしています。日本政府の発言の要旨は、第一は各国の解釈の余地を残す書き振りをして「障害は以下のものを含む」という書き方、NZのように前文に入れる、第三にロシアの発言を引用して国内法に基づき柔軟に対応すべきである、という考え方を支持しています。
 第一の「以下のものを含む」というやり方は、マッケイ議長の案ですが、マッケイ議長が第7回特別委員会で提案したICFの「障害機能分類」をもとにした案との整合性等の問題があるかもしれません。JDFは第7回特別委員会でのマッケイ議長案を支持していますが、議場の雰囲気からは、マッケイ議長提案の水準のものが定義されるかは予断を許しません。

 今回は非公式会議で物事を調整することが多く、定義についても非公式会議で調整が行われます。

<サイドイベントも開催>
 16日の水曜日はJDF主催のサイドイベントを開きました。国内モニタリングをテーマに、原口一博衆議院議員(民主党)、インド国家人権委員会のアヌラダ・モヒッドさん、国連人権高等弁務官事務所のサイモン・ウォーカーさん、韓国政府代表のイ・イクソプさんをスピーカーにお招きして、日本政府国連代表部の後援のもと、開催しました(写真はスピーカーの皆さん)。50人近くの方が参加してくださいました。国連代表部のご協力もあり、成功裏に開催することができました。

060816adhoc

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