社会権規約

 社会権規約は正式には「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」といいます。 
 1948年、今日の国際人権基準の出発点となる「世界人権宣言」が採択されましたが、これは、一国内問題でしかなかった“人権問題”を国際化したという点で極めて重要な出来事でした。しかし法的拘束力がないので、同宣言をもとに、国連経済社会理事会の人権委員会で条約化作業が進められました。その結果、1966年、社会権規約、自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約-以下、自由権規約)、自由権規約第一選択議定書(自由権規約締結国内でおきた自由権侵害に関する個人通報についての条約)の3つが国連総会で採択されました。これらを「国際人権規約」といいます。

 「社会権規約」は前文と全31条からなり、労働権、公正・良好な労働条件を享受する権利など労働に関する諸権利(6~8条)、社会保障(9条)、十分な生活水準、衣食住、生活条件の向上の権利(11条)、全ての者への教育の権利、初等教育義務・無償化などの教育への権利(13、14条)、文化的生活に参加する権利などを定めた文化への権利(15条)など、経済・社会・文化的権利の保障を締結国に義務づけています。

 

 効力と実施措置

 それではこの社会権規約からどのような効力と義務が生じるのでしょうか?日本については社会権規約・自由権規約の発効が79年であり、それ以降に発生した行為・事実などが条約に拘束されます。
 社会権規約の場合、義務主体となるのは締結国の政府です。条約の内容については各国の経済発展状況に応じて達成されるものであり、権利の完全な実現を漸進的に達成すればよい(2条)、とされています。そのため、日本国内では直接適用性は否認される傾向にありますが、人権の普遍的性質等からみても、権利の内容によっては即時的実現義務が課されると考えるべきでしょう。
 社会権規約の国際的実施措置(義務)は報告制度だけです。締結国政府は5年ごとに規約全体についての包括的報告書(グローバル・レポート)を提出し、それを国連経済社会理事会の委託を受けた社会権規約委員会が審査し(今回分析するのは日本政府が行ったこの第2回目の報告書)、次の段階として公開で各国政府代表と委員会の質疑応答があります。そして委員会は積極的側面、懸念事項、提案・勧告等からなる最終所見を採択し、当該国に送ります。

 
国際人権規約とは?
社会権規約全文・政府回答は外務省「国際人権規約」のページへGO!

 

 一般的意見

 また「一般的意見」というのがあります。報告審査以外に特定の権利・条項の解釈に関しての委員会の意見であり、これは国際的に権威ある規約解釈と言えます。障害者の権利については「一般的意見第5号」としてまとめられています。ここで、「障害者が社会権規約の権利全般を明確に持つ」ことを確認しています。

 最後にNGOの役割についてひとこと。NGOは政府報告書に対するカウンターリポートを提出することができ、委員会の有力な情報源となっています。国連もNGOを「専門知識」「体験的知識」を持った専門家として高く評価しており、国連の活動自体にも大きな影響を及ぼしています。DPIは経済社会理事会でNGOとして特別顧問の資格をもっています。

DPI日本会議による
国際人権規約(経済、社会、文化的権利に関する国際規約【社会権規約】
に基づく第2回「日本政府報告」に対するカウンターレポート

<2001年8月提出>

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